親知らずとは?
こんにちは。神田駅前歯科クリニックです。
今回のお話は親知らずです。
「親知らずとは、上下左右に1本ずつ、前歯から数えて8番目の位置に生えてくる大きな歯を指します。歯科では『8番』と呼び、最大4本あることになります。
親知らずは18歳以降に生えてくる傾向があり、その名の由来は『分別のつく年頃になってから生えるので、親が生え始めを知らないため』『平均寿命が40歳前後だった時代には、子どもの親知らずが生えてくる前に親が亡くなってしまっているため』など諸説あるようです。『知歯(ちし)』とも呼ばれますが、これは成人して知恵がついてから生える歯であることに由来するそうです」
親知らずが真っすぐ生えないのは本来生えるべき場所にスペースがないためです。これには、人類の進化において、顎が小さくなっているためという考え方があります。しかし、実はクロマニョン人においてもこうした親知らずの変化はみられていたそうで、日本では弥生時代にも親知らずが埋まってしまったり、横向きに生えたり、そもそもなかったりすることが珍しくなかったそうです。現代になってから、親知らずが正しく生えないことが多くなったように思われがちですが実際はそうでないのです。
親知らずが生えるスペースがなくなっているのは、大昔の段階で食事の内容が徐々に変わっていたからだと考えられます。硬いものをかみちぎる必要があった時代から、少しずつ調理技術が発達して軟らかいものを食べるようになったため、顎がそこまで発達する必要がなくなったという説があります。
親知らずを抜かなくてよいケースは『清掃ができる生え方の場合』『虫歯などの大きな異常がない場合』『親知らずが全く生えておらず、清掃する必要がない(他の歯に影響を与えない)場合』です。親知らずは他の歯と同様、またはそれ以上にしっかり清掃をする必要がありますが、最も奥まった場所に生えるので、歯ブラシが当てにくく、清掃不良になりやすいです。
親知らずのトラブルが原因でその手前の歯(7番目の歯)に虫歯や歯周炎を引き起こさないようにすることです。
正しい向きに生えないことが多い親知らずは人類の進化とともに顎が小さくなった分、退化の方向にあると思います。しかし、その手前の歯は、かむのに必要な力や機能を大きく発揮する非常に大切な歯です。そのため、親知らずを抜く必要があると判断する理由には、この『7番目の歯を守ること』が大きく考慮されます。
親知らずが虫歯や歯周炎になっても抜けばいいと考えるのではなく、その手前の歯の健康まで考えて、治療しなくても済むよう、できる限り、しっかりと日々の清掃をすることを心掛けましょう。