なぜ歯が悪くなる、歯が無くなる理由
こんにちは!神田駅前歯科クリニックです。
歯は、基本的には、むし歯か歯周病でなくなります。歯ぎしりや歯並び、強い咬合や、外傷、破折もありますが、今日はむし歯・歯周病についてお話します。
そして、それらの病気は、むし歯菌や歯周病菌と、体の免疫システムとの戦いになるのです。
まずは、むし歯です。
むし歯は、どうやったら虫歯になると思いますか?
多くの方は、歯磨きがだめだからとか、いつも甘いものを食べているからと答えます。
確かにそれは正しいですが、むし歯になるメカニズムをまずは理解する必要があります。
むし歯とは、基本的には、歯の健康な面が溶けて、穴が開いてしまうことを言います。
歯磨きしなかったら、バイ菌が穴をあけてしまう。甘いものを食べたら、バイ菌が甘いものを栄養にして穴をあけてしまう。
そして、できた穴がむし歯です。一度できた穴は、歯医者さんで詰めないと治りません。
けど、数日歯磨きをしなくても、普段甘いものばっかり食べていても虫歯にならないときはならないですよね?
これはなぜだと思いますか?
じつは、歯には再石灰化という特殊な修復機能があり、
バイ菌が歯を溶かしても、溶けたものが元に戻る作用があるのです。
つまり、普段は、歯垢がたまっている時、甘いものを食べている時、必ず歯が溶かされているのに、その後、溶けた部分が元に戻る作用があるということです。
歯は、pHが5.5以下になると、表面が溶けるという性質があります。
ジュースを飲んだりお菓子を食べると、その食品自体がpH5.5いかであれば、むし歯菌のいるいないに関わらず歯の表面が溶けます。
また、砂糖を取ると、歯垢中のバイ菌が砂糖を分解して、酸性の物質を出し、歯垢中のpHが5.5以下になります。そうすると歯が溶けだします。
しかし!歯には、再石灰化という能力があり、その成分は唾の中にあります。食後、唾の成分が歯にいきわたり、pHを5.5以上にしてくれます。そうすると、歯は溶けなくなり、かわりに唾の中のカルシウムイオンやリン酸イオンが歯に結合して歯の表面を修復してくれるのです!
なので、普通は、この溶けると戻るのバランスがちゃんとしているので、穴はあきません。
むし歯になるとは、この溶ける(脱灰)が強いか、戻る(再石灰化)が弱いかのどちらかが起きることで、穴があきます。
例えば、唾液が少ない人。
このような人は、口の中のpHが5.5以下になった後、それが元に戻るまでに多くの時間がかかります。なので、再石灰化がおき、穴が元通りになる前にまた歯を溶かすと、どんどん溶けて行って、元に戻すことができない穴があきます。これがむし歯です。
つまり、むし歯とは、この溶ける戻るのバランスが崩れることが原因で起きる病気なのです。
次に歯周病。
歯周病とは、歯周病菌と歯茎の上皮バリアの戦いのことです。
歯ぐきには、バイ菌から歯ぐきを守る免疫機構があり、歯と接する歯ぐきの表面には上皮バリアというバリア部隊がいます。
一方、歯周病菌は、栄養源として、鉄が必要であり、血液中の鉄を得るために、歯ぐきを攻撃します。
歯ぐき周辺の歯垢が多かったり、歯石が付いていると、歯ぐきを攻撃する菌が多く、上皮バリアが破られると歯ぐきが腫れて出血します。
歯磨きしたら血が出るという状況は、歯周病菌にすでに歯ぐきのバリアが破られているということなので、非常にヤバいです。
そして、歯ぐきが腫れたり、歯周病菌が出す毒素の影響で、歯を支えている骨が溶けだします。
この骨が溶けるというのはかなりマズいです。
なぜなら、歯の寿命とは、歯そのものの寿命ではなく、歯を支えている骨の寿命と言っても過言ではないからです。
歯はなぜグラグラしないと思いますか?
それは、歯ぐきに埋まっているからではなく、
歯が顎の骨に埋まているからなのです。歯の根っこは基本的には骨に埋まっていますが、この骨が溶けてなくなり、3分の1くらいしか歯の根っこが骨に埋まっていない状態になると、グラグラして歯が抜けます。
この時、基本的には抜けるまで痛みや症状が無い場合も多くあります。
虫歯になったことのない、すごく健康な歯が、ある日グラグラしだして抜けてしまう。これが歯周病です。
話を戻すと、この、歯ぐきが腫れることで、歯を支えている骨が溶けることが、
歯周病になって、歯を失うということです。
当然、体の免疫力や、体調、生活、全身疾患とも密接に関係してきますが、大まかにいうと
歯周病はこのような病態です。
まとめると、むし歯の原因は、歯の溶ける戻るのバランスの問題、
歯周病の原因は歯ぐきが腫れて、歯を支える骨が溶ける溶けないの問題と言えます。