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歯の神経は残した方がいい?

こんにちは。神田駅前歯科クリニックです。

「神経ってやっぱり残した方がいいんですか?」
「また痛くなると困るから、神経を抜いてほしい」
という方もいらっしゃり、神経を抜くデメリットについてはあまり深く考えていらっしゃらない方もいます。

そこで本日は、歯の神経を抜くメリット、デメリットなどについてご紹介させていただきたいと思います。

そもそも、歯の神経の役割って?

歯の神経は、正式には「歯髄(しずい)」と呼ばれ、血管と神経が入り混ざった状態で存在しています。

歯髄には、歯に栄養や水分、酸素を運んだり、免疫などの防衛反応を伝達するなど重要な役割があり、そのおかげで歯はツヤや丈夫さを保つことができます。
そのため、歯の神経がなくなってしまうと、栄養分や水分が歯に行き届かなくなってしまい、まるで枯れ木のように脆く、割れやすくなってしまいます。

そうすると、必然的に歯の寿命も短くなりますので、義歯やブリッジなどの補綴手段が必要となり、結果的に治療にかかる費用も大きくなってしまうケースが多々あるのです。

に神経があることのメリット

いつものように美味しく食事を食べられる
ご飯を食べるときに改めて実感することはほとんどありませんが、「パンを噛んでいる」「スープが熱い」といったいつもの食事の時にいつものように感じることができるのは、歯に神経があるからなのです。

虫歯を感知できる
歯の神経があるからこそ虫歯を自覚できます。虫歯が痛い。歯の神経があるから、その神経が虫歯菌にやられ始めると、痛みが出ます。

さらなる異常(虫歯)から歯を守る
虫歯で歯が溶かされると歯の神経細胞は、第2象牙質と言って、新たな歯を作り始めます。つまり、歯の神経があるからこそ、虫歯菌から歯(歯の神経)を守ることができるのです。

歯の神経を抜くデメリット

歯が脆くなり、割れやすくなる(歯根破折)

日本人の抜歯の原因として一般的に広く認知されているのは「歯周病(37.1%)」「むし歯(29.2%)」ですが、実は歯周病や虫歯に続く第3位の原因として注目されているのが、「歯根破折(17.8%)」です。

歯根破折とは、歯の根が折れたり割れたりすることを言い、歯根破折が起こってしまうと、ほとんどのケースで抜歯をせざるを得なくなってしまうため、なるべく避けたい怖い症状のうちの一つです。

歯根破折の原因はさまざまですが、噛む力が強すぎたり、食いしばりや歯ぎしりの癖などにより引き起こされることも多く、近年、徐々に増加傾向にあります。
歯根破折は、神経のある歯の場合はめったに起こることがなく、ほとんどが神経の無い抜髄済みの歯に起こります。
それは、神経のある歯の場合、歯に栄養分や水分が行き届いているため、多少のダメージや圧力が加わっても歯が「しなる」ことで加わった力を吸収してくれますが、神経の無い歯は水分や栄養分を失っているため、枯れ木のように「しなり」を失い、割れやすく、折れやすくなっているためです。

特に、神経を抜いた歯に被せ物をかぶせるときの土台に金属が使われていたりすると、金属は強度が強すぎて「しなり」が無いため、加わった力の応力が歯の根の部分に集中してしまい、さらに歯根破折が起きやすくなります。

歯の根の先に膿が溜まる「根尖性歯周炎」になりやすくなる

根尖性歯周炎とは、歯の中の神経の入っている管(根管)内で細菌が繁殖してしまい、歯の根の先の部分に膿が溜まってしまう状態を言います。
歯の神経がある状態ですと、歯の神経の持つ免疫力により、侵入してきた細菌をやっつけたりブロックしたりすることができますが、神経がとられてしまった歯は細菌に対する抵抗力が失われてしまっているため、細菌感染を起こしやすくなっているのです。

根尖性歯周炎の症状としては、
・疲れたときに歯ぐきが腫れる。
・歯ぐきからうみが出てくる。
・噛むと違和感・痛みが出る。
等が挙げられ、歯の根っこの治療(根管治療)が必要となります。

歯の色が、黒や茶色に変色してしまう場合がある

神経のある歯の場合、血液が循環していることで歯に栄養が運ばれたり、古い物質を代謝することができますが、神経を抜いてしまうと、根管内の血管も抜くことになるため、こういった代謝の働きがほぼなくなってしまいます。
そうなると、組織の変異物や古くなったコラーゲン物質、血液中の鉄分などが歯の中に入り込んで沈着し、時間と共に褐色〜黒色に変色していきます。

中から黒くなってしまった歯は、外側からホワイトニングをしても白くなりませんので、歯の内側からのホワイトニング(ブリーチング)を行う必要があります。

痛みを感じなくなるため、歯のトラブルに気づくのが遅れる

歯の神経には、「痛い」や「しみる」といった歯の異常を教えてくれるという大事な役割もあります。

歯が痛いときやしみるときなど、神経を取ってしまえば痛みは治まります。
そのため、痛みが発生しないようには神経を取ってしまった方が良いと考える方もいらっしゃるかもしれません。
ですが、逆に痛みが発生しないということは、たとえ歯の内部で虫歯が進行していたとしても気づくことができず、治療が遅れてしまうというデメリットもあります。

歯科治療は基本的に、治療が遅れれば遅れるほど大掛かりなものとなり、治療にかかる費用も時間も多く必要になります。
最小限の費用と労力で済ませるためにも、歯の神経を残しておくことが大切となります。

なぜ歯の神経を取るのか

歯の神経を取ることはデメリットばかりですが、それでも神経を抜くほうが良いと判断することがあります。

歯に激痛がある
歯の神経にまでむし歯が進むと、激痛があります。このような時は麻酔も効きにくく、治療が過酷になります。神経を抜かなければ痛みはなくなりません。

歯の根から膿が出ている
根の先から膿が出ていると、神経の一部または全部が死んでしまっているので、神経を抜いて歯の内部の空間を消毒します。

病気の進行を止める
神経がある部分は歯の内部の通路の役割もするため、虫歯の細菌が歯の内部に進行し、その先の根の先の骨まで侵してしまうのを防ぐことができます。

最後に

歯を失うと二度と元には戻りません。

しっかりと歯が揃っていて、自分の歯で噛めることは、ほんとうに幸せなことです。当たり前のことのようですが、毎日を快適に過ごせるのはお口が健康であるからこそ。
神経のある生きた歯を維持しているからこそです。

そのために、将来のことを考えた治療を選択することが大切です。

また、治療だけではなく、むし歯にならないように予防することも大切です。むし歯予防の基本は毎日の歯磨きですので、歯磨きの精度を高めて、お口を清潔に保ちましょう。
ご家庭でのケアに加えて、定期的に歯科医院を受診して、お口の中に異常がないかをチェックしておくのが安心です。